Winter Blue

　

　　　　　人恋しくなる　人を遠ざける　寒の入り
　　　　　憂鬱で甘いチョコレートケーキ
　　　　　閉じていく世界
　
　
　
　

泣いたり怒ったり美味しいものを食べたり綺麗な景色を見たりするたびに、すこしずつ自分が壊れてゆくような気がする。

男の身体に繋がれて揺さぶられているときだけ、生きていることを実感できた。 かたわらにぬくもりがあるときはこの身体も中心が熱く蕩けて、たしかなものに思えた。
ぬくもりが離れて身体がさめてしまうと途端になにもかもがあやふやになってしまう。
立ち枯れて惨めな姿を晒しつづける向日葵や青い縁取りのちいさな鉢でおとなしく泳ぐ赤い金魚や 夜の路地裏で気弱な青年をおびやかす黒猫と私は、いったいなにがどれくらい違うのだろう。 それともあれが、あれこそがほんものの私なのだろうか。
この身体がほんとうに自分のものかどうか確かめるために、何度も何度も肌に爪を立てたり抓ってみたりする。 やわらかな肌には、痛みと傷痕が残る。 (けれどもこの痛みも傷もはたしてほんものなのだろうか？)
私の身体はこんなにも無防備なのに、人間にはどうして殻や繭を形成する機能がないんだろう。 殻でも繭でもいい、そういうものを作れるのならば、誰にもなににも、 自分自身にも煩わされず惑わされずにその中に閉じこもって手足をまるめて眠っていられるのに。
誰といても、誰と愛し合っても、いつも寂しくてたまらない。

私の居場所は、何処にあるの？