ホテルエンドレス
あなたが私と出会った時のあなたの年齢に私やっと届いたんだなぁって思いながら
ベッド脇
裸でケーキにかぶりつく
正確にはまだ１１ヶ月ほど足りないんだけど
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2002年11月28日(木)
冬日和の公園で
外に出ると意外にも空は晴れていて
急におでかけ気分になった
こんなに晴れてると知ってたなら
もっと早くに私を連れだしてよ
私の耳には
暗い部屋で三時間も弾いてたイヤホンからのピアノ音が響いている
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2002年11月26日(火)
平福百穂画伯装丁の唐草模様
岩波文庫の１００冊が何であったかを知るために問い合わせたメールの返事は、翌日の昼に届いた。添付ファイルには１００冊を記録したファイルが入っている。ご丁寧に、６１年の１００冊と、７６年の新選１００冊、二つも教えていただき、また１冊１冊岩波ＤＢへのリンクがしてあるＨＴＭＬ文書で、嬉しかった。あの人が「岩波文庫の１００冊」のことを私に教えてくれたときは、もうイベントは終わっていて、それが何かと知らずにずっときた。毎年、新潮・角川・集英社と夏の１００冊の既読冊数は数えてきたくせに、岩波のは調べたことがない。こんなに簡単にわかるのならば、もっと早くに調べておけばよかった。そんなつまらない後悔をしてみた。
４５冊、か。
負けたなぁと今さらながら思った。「新潮より、岩波の方が多分たくさん読んでる」という、あの人が悔しそうに口走った言葉を忘れてない。負けました。そう伝えたかった。
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岩波文庫の１００冊ファイルが欲しい方はメルアドお知らせください
株式会社岩波書店からいただいたファイルを添付いたします ...
2002年11月25日(月)
夢を見た
目醒めてみるとそれはあまりにも俗っぽい願望でしばらくベッドから起き上がれなかった
生暖かい温度にくるまれて
もう一度夢の中に戻りたかった
戻ったら
こんなこと言いたいんじゃないの、と言えるのに
呼出音が響いて現実はこっちだと私を呼ぶ
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2002年11月24日(日)
彼方を出迎える玄関
季節の準備をするのはスキ束の間の愉しさ
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2002年11月23日(土)
ひとりでおでかけ
最高気温は八度曇天
白いストールを巻いて
手袋をする
寒さの中に身をおくと少し気持ちが凛とする
大丈夫
カバンの中には甘いキャラメルだってあるし
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2002年11月22日(金)
静かな日常
懐かしいＣＤを買ったそのアルバムは何回も聴き返したものだったから
流していれば
曲の狭間の空白に次の曲のフレーズさえ歌い出せる
ダビングさせてもらったあの古いカセットは
どこに消えたんだろう
いつもカセットは切れるまで再生してしまっていて
いつも大切な想い出から切れていく
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2002年11月21日(木)
夜が明けたら巣をつくろう
橋の上で渋滞がはじまると光が連なってゆっくりと流れていく
反対車線のそういう光景を眺めながら
運転するあなたの横顔も見ている
ほらあそこ
あなたが指した先
揺れて光るアドバルーンふたつ
切り取りたいような情景
わたし何が足りないんだろう
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2002年11月19日(火)
白いラブレターを
山のように手紙が届いても この隙間は埋まりそうにないあなたが言葉をくれないかぎり いつまでも探し続けてしまう
そんな気がする
返事の言葉の選び方や次の手紙への話の振り方
全部 私に好かれる為だったって自惚れてもいい？
たまに読み返しては大切に包み込む
それと比べてしまえばどれも塵のようなメモ
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2002年11月18日(月)
たかが、愛の代用品
ひとりで歩いていてなんとなくひとりで映画が観たくなり
映画館の前まで行ってみる
暗闇の中 上質な恋愛映画
そういう気分だった
割引の日だったけれど
一日１本のその映画は終わってしまっていて
まぁ
そんなものかな、と思いながら家路につく
ローソンでチョコレート効果を買って帰る
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2002年11月15日(金)
枯葉桜の下で
玄関を開けるとコンクリートに枯葉が集まっている
お向かいさんの桜はこうしていつも 私に季節を知らせてくれる
肌や唇がかさついて 寒さが一層増してきて
あまりにも高くて青い空に 息をするのもためらわれる冬
あの頃はいつも缶ココアを飲んでた
冬の想い出はいつも凍結するどころか熱い
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2002年11月14日(木)
片思いの夜
返事が来ないだろうと思っているのにメールを出すのってしんどい
メールといってもたかだか五行くらいなのだから
返事なんて一行メールでいいのに、と思う
私もあの人と同じように
返事なんて書けないくらい煩わしいと
突き放されるのだろうか
それでも今は出さずにいられない
私から遠ざかりたくない
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2002年11月13日(水)
夜八時になると軽快なボレロが流れる
毎日決まった時間に薬を飲み始めてから今月で一年が経つ
一年の間に
痛みはどんどん軽くなっていったし
憂鬱さも減った
不安定だった肌の調子も良くなった
しつこい背中のにきび痕も
見せたくなるくらい綺麗に消えた
たまに貧血とか吐き気があるけれど
あんまり関係もないようで
そりゃ今は無職だし半端な学生で
貯金を食い潰しているけれど
ほら 私は元気でやってます
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2002年11月12日(火)
遠ざかっていく
私たちは学校で同じクラスになったことはなくていつも違う立場でいたけど
でも
同じようなものの見方をしていたから
大丈夫だったんだと思う
１０年以上つきあって
距離に負けない自信はあったけど
忙しさに負けるとは思わなかった
メールを読みながら
しばらく距離を置こうと思っているのは
きっと私だけではないはずだ
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2002年11月11日(月)
私の声は届いている？
一度手に入れようとしたものをそれを手に入れることの
困難さに気がついて諦めてから
再びそれを手にしたいと願う
その愚かさのようなものから
逃げられなくて
足掻く毎日
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2002年11月09日(土)
前髪を切る
いつでもできると思うことは往々にして先延ばしされていざしようとすると躊躇いさえ覚えるものだということを
鏡を見ながら思った
伸びた前髪は目の下まで来ている
気まぐれに提出した履歴書のせいで来週は面接
さすがにこのままではいけないだろう
ハサミを入れると
切れた前髪が落ちた
気まぐれに提出したわけがない
この憂鬱は生温い生活から出ることへの痛みだと
思わずにはいられなかった
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2002年11月06日(水)
哀しいキスはまだ この胸にあるよ
たまに なにかしていないと いたたまれなくなる時があるそれで 私は
そういうときに ピアノを弾くようにしてる
そして
そういうときにしか 弾かない
だから 弾くたびに 手が鈍ってると感じ
練習したら もう少し巧く弾けるのにと 思う
指の動きの鈍さに 苛立ち
何度も何度も 同じフレーズを 叩きつけるように繰返し
ようやくスムースになったころ
それはもう２時間くらい経っているのだけれど
気が済んだように 手を置く
ＫＯＲＧのＴ１はもう古いキーボードだけれど
８８鍵の重めのタッチは
実家のグランドピアノを彷彿とさせて
かつて 毎日欠かさず弾いていた少女の私が
贅沢もの、と笑う
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2002年11月03日(日)
曇りのち雨空
そういえば働いてたときは毎日天気予報を見てた今は
晴れでも雨でも
嵐でだって前もって知らなくてもいい
それは世界を遮断しているのではなくて
世界の流れに任せているのだ
と今は思える
今日は認定日なので
少し憂鬱になりながらお天気を確認して
ハローワークに行く
往復４２０円のノルマ
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2002年11月01日(金)