そ　し　て　罪　深　く　愛　し　て　よ
　
　
　
　

空の名前

朝から降り続いていた雨が
昼過ぎから雪に変わっていた

そういえば前の認定日はひどい雨で
前回の雪の日は面接だった
でかける日に限って天気が悪い不運を少しだけ嘆いて
駅から駆け出す

春が近いべた雪
赤いアンブレラと三つ編みが勇気をくれるから
寒くても平気
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2003年02月24日(月)

　
　
　

ちょっと病院に行って来ます

久しぶりに食べたハイチュウがとても甘酸っぱいので
急に服を全部捨てたくなって
ほんとうに全部捨てたらどんなに楽だろうって思って
泣きながらごみ袋に詰め込んだら
今日は燃えるゴミの日じゃなかったって
そんな気分
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2003年02月22日(土)

　
　
　

あなたはそうしていつまでも眠っているといい

情けなくなるほどお天気がいいので
洗い物を強引に引っ張り出して洗濯をする

２月は１年で一番寒い月だとずっと思っていたから
こんなにも日々暖かくなっていくのが不思議でたまらない
もう三月まであと十日もないということに気づいて
春までもう少しと祈る

もう少し
もう少し
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2003年02月21日(金)

　
　
　

あなた、今どこにいるの？

今日、何年かぶりに「ノルウェイの森」を読み返して
二十代が半分終わったことを知った
きっとそれは
二十歳前後に読んでおかなければならない作品のひとつで
それをその時代に読めたことにとても感謝した

そうして確実に時が流れていることに
どうしようもない哀しさを感じたけれど
なにもできることはなかった　身動きがとれないほどなんにもなかった
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2003年02月20日(木)

　
　
　

一行ひめごと

あなたがいない今日は
洪水のように音楽を流して
背徳的なざわめきが微熱を慰めてくれるように
一瞬思考を切ったけれど
すぐにまた考えはじめてしまった

ひめごと雑文祭
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2003年02月19日(水)

　
　
　

眠る直前は胸に手をあてて。

思い出すことがたくさんある
それは嬉しいことなんだろうか
哀しいことなんだろうか

行き先が真っ白すぎて
計画通りには何も行かなくて
そのせいで過去ばかり振り返っている気がする
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2003年02月17日(月)

　
　
　

大きな胸の上に乗る

なにしてるの？
んー
心臓の音？
そうー
聴いてるの？
うん
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2003年02月16日(日)

　
　
　

72　いま、ポケットの中には何が入っていますか？

久しぶりに着た上着のポケットから
桜色の貝殻が出てきて
硬質で滑らかな感触は一瞬にして過去を呼び覚まし
そこからしばし動けなかった

小さな貝を指先につまんで
何度も感触を確かめたあとで
またポケットに仕舞った
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2003年02月12日(水)

　
　
　

コンクリートヤード

私の小さな庭に
植えていないはずの
ホトケノザとタンポポが根を張って
春を待っている

プランターはさながら土手みたいで
冬の淋しさを紛らわしてくれてる
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2003年02月10日(月)

　
　
　

口に蜜あり腹に剣あり

口の内側を思いっきり噛んだ
食べ方が汚いせいだと思った
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2003年02月09日(日)

　
　
　

今日あなたがいてくれてよかった

夕闇の中を北上する１６号から
既に南中している月が昨日より少しだけ輝いてみえる
空は少し曇りがちなせいで
月以外はシリウスさえ見えそうにない
ロードノイズに耳を傾けると
まだ何も手に入れてないことに気づく
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2003年02月08日(土)

　
　
　

茫然自失

同じ曲を何回も何回も何回も聴いて
この陰鬱な状態から抜け出せないかと無意識に足掻く

人に会う約束があるから
なんとかあと１０日のうちにテンションを上げなければならない
それでも今月は辛い
２週間後までは確実に辛い
会いたい会いたい会いたくない
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2003年02月07日(金)

　
　
　

救いをあなたに求めるのは愚かなことだった

視界を狭くして前だけを見ている
助けを求めてもそれはとても無駄なことだと気づいた
あなたはそんなにも他人事のような仕打ちを下して
そうして笑っているといい

もうどうしようもないよと呟いて
どんなに苦しくても前に進むしかない
空洞になっている半身に闇が埋まっている
それを見ないようにしてそのことばかり考えている
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2003年02月06日(木)

　
　
　

それはほんの些細なことの積み重ね

ありがとうと言ってくれなかったりとか
メールの返事が遅すぎたりとか
私の話を無視したりとか
そういう、ひとつひとつはまあいいやって思えること

でもなんかもう
疲れてしまった
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2003年02月05日(水)

　
　
　

何も言えないときは

何も言わなくていい
沈黙の後ろのあなたの激情を知ってる
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2003年02月04日(火)

　
　
　

爆音で聴いているイヤホンの向こうには何もない。

自分の小説は、どんなに切ないことも苦しいことも汚いことさえ、好きな言葉でしか書いていないから、ときどき鬱陶しくなる代わりに、忘れた頃に読み返すとぐっと心を引き止められてしまう。
別れしか書けない理由に最近気づいてきたけれど、気づいたからって何も変わりそうにない。何があってもどうか私の手を離さないで。
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2003年02月02日(日)

　
　
　

とても懐かしいひとに逢った

ほんとうに其処で逢うとは考えもしなかったから
びっくりして
びっくりしたことしか伝えられなかった
とても嬉しくて
とても懐かしくて
そうしてそれがすべてだった

連絡先を訊かなかったことに後で気づいたけれど
それで良いのだと思う

偶然に感謝を
またいつか何年後かに逢いましょう
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2003年02月01日(土)

　

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