日本海編　愛媛香川岡山兵庫大阪京都滋賀福井石川富山新潟長野群馬（八幡浜〜前橋）

　　　青春１８計画で、難問だったのは、終電から始発の時間をどうするか？　ということ。どこか一泊でもしてしまえば、飛行機で帰るほうが安くなってしまう。行きは彼女の家にタダで泊めてもらったから良かったけれども、帰りはどうするか。そこで、時刻表と格闘して見つけたのが、『夜行快速』！　これなら青春１８切符も使える。松山〜京都間が寝ている間にひとっ飛び、という計算だ、‥‥が、実際はどうであったか？

　八月　十三日（水）

［ 双岩 ］19:04　出発！

（鈍行）この駅から私の家は約２００mほど。思えば、この駅から毎朝高校に通っていたんてやなー、と思いつつ、お母さんと地元の駅で別れる。

［ 八幡浜 ］19:10　着

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［ 八幡浜 ］19:33　発

（鈍行）馴染み深い八幡浜駅。ここから通っていた高校まで５００mほど。ホームが三つしかない小さな駅とはいえ、特急も止まるちゃんとした駅だぞ！　大分県別府とフェリーでつながる、魚とみかんの街、八幡浜。さらば。

［ 松山 ］21:39　着

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［ 松山 ］22:43　発

（夜行快速）ここから京都まで所要７時間。松山から乗る人間が、意外に多い。

家族連れだったり、男一人だったり、‥‥盗み見ると片手に「青春１８切符」がっ！

夜行快速、もっと快適かと思いきや、すごく、辛い。ものすごーく、辛い。

なにが辛いかというと、座席椅子がぼろくて、長時間座ってられない。

毛布一枚あてたいところだが、貸してくれないらしい。それから、室内灯が消えない、

おそらく、歩く人の為なのだろうが、午前一時、心無しか少ーし暗くなるのみ。耐えれん。

つくづく思うが、私は旅行向けの体質じゃない。明るい、寒いと眠れないし、疲れるだけだし、

すぐ生理不純になって、旅行中によくなる。でも、だからといって旅行が嫌いどころか、

好きなんやけん、いい加減旅行好きの体質に変わってくれてもいいと思うんだけどね‥‥。

午前３時過ぎ、ようやく眠ったらしい。

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　八月　十四日（木）

［ 京都 ］06:26　着

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［ 京都 ］06:44　発

（鈍行）おいおい、六時過ぎだぞ、まだ７時にもなってないぞ、なんで？　この人の多さは。座れん！

彼らは滋賀県当たりで降りるかと思いきや、大津などで降りていくのはせいぜい、４分の１程度。

琵琶湖の北、米原。皆がどどっと降りていく。うーむ。乗り換えて名古屋、か。

ところが乗ってくる人もいる。この列車は長浜止り、つまりは‥‥敦賀に行くわけか？

［ 長浜 ］08:07　着

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［ 長浜 ］08:32　発

（鈍行）まだまだ人が多い。乗り換えを迅速にしないと、座れない。鈍行とは言え、椅子とりゲーム。

だんだん人も減ってくる。そうそう、この地域で、ちょっと馴染みのない光景を見つけた。

線路と道路の交差するところが、踏切を設けているのではなくて、道路が陸橋の様になっている、

バイパスっていうの？　それがたくさんあります。田んぼのど真ん中を突っ切る線路と、それを

いちいちまたぐ道路。見慣れない光景で面白かった。

［ 敦賀 ］09:10　着

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［ 敦賀 ］10:04　発

（鈍行）とりあえず、朝食でもとろう、とおにぎりを買う。出発まで時間がある、ちょっとうろうろ。

あっっっ！　や・ば・い、大事な切符がない。ないないないっ。どこで落としたんだろう、

さっきおにぎり食べたとこ、食べたとこ、うっ、ないっ。どうしよう、‥‥。

「お姉さん、切符落としたよ、あんたんでしょう？」と親切なおばさん‥‥よかったあ‥

「ありがとうございます！」よかった、よかったああ。あぁ、こわ。

［ 金沢 ］12:45　着

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［ 金沢 ］13:30　発

（鈍行）金沢駅は大きい。駅の中をうろうろ、さすが、城下町、おみやげおみやげ。

［ 富山 ］14:36　着

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［ 富山 ］15:16　発

（鈍行）昨日きちんと寝なかったのが災いして、金沢から富山までとろとろしていたらすっかり‥

眠ってしまっていた！！　富山駅に着いても気付かずにすやすや‥

「お姉さん、お姉さん、着いたよ、降りるんじゃないの？」‥はっ

富山に着いた列車は、また折り返し金沢行きの鈍行になるらしい。

私は、金沢方面に向かうおじいさんに起こされる。起こされなければまた金沢に戻る所だった。

「‥寝ちゃってた‥‥、すみません、ありがとうございましたっ」ありがとうおじいさん。

［ 直江津 ］17:13　着

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［ 直江津 ］17:45　発

（鈍行）ここでＪＲ西日本からＪＲ東日本に。直江津までの日本海を見ながらの沿線から離れて、

長野に向けて内陸に向かう。高崎行のこの列車には、たくさん人が乗り込んでくる。

最初っから乗っていて良かった、座れることのありがたさと言ったら。

高崎までは結構遠い、軽井沢を過ぎても乗り込んでくる人が多い、みんな高崎に行くらしい。

［ 高崎 ］22:04　着

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［ 高崎 ］22:20　発

（鈍行）うう。ようやく群馬に入った。前橋まで、もうすぐ、もうすぐ、もうすぐ。

［ 前橋 ］22:32　到着！！

ついに、ついに、終着駅、前橋。疲れたー、ほんとに着いたーっ

地元を離れてまるまる２４時間強。長かったねー、終わってみるとそうでもないけど、長かった。

そうねえ、夜行快速がもう少し快適だったら、もっと楽だったかも。

ずいぶん遠いところに来たなあと、改めて思う。

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　　鈍行は、昔からそんなに嫌いじゃない。窓から流れる景色も好きだし、ごとごと揺れるのも好き。地道に移動してる、遠くまで来たんだなあと実感できる、自分の体が長距離を動く、その感じが好きだ。飛行機や新幹線は、確かに便利がいい。目的地にすぐ着いて、目的地で十分時間を潰して遊べる。目的地までに移動時間がかかりすぎて、目的地で遊べないのは、旅行としては不満足だろう、でも、たまには、移動の過程を楽しむのをいいんじゃないかって思う。山も海もたくさんの乗りかえの駅も、別に見なくても目的地には着くけど、日本地図を広げて、ここを通ったんだなあと、感慨に耽る、この実感ったらない。

　　さてさて、今回「青春１８帰省計画」読破旅行の結果はいかに！？

　　文庫計１０冊！　読んだ順ではないけど、以下にそれを挙げて見ましょう。
　　　　　太宰　治　　新潮文庫　　　　斜陽
　　　　　遠藤周作　　新潮文庫　　　　沈黙
　　　　　瀬名秀明　　角川ホラー文庫　パラサイト・イヴ
　　　　　村上　龍　　幻冬社文庫　　　五分後の世界
　　　　　村上　龍　　幻冬社文庫　　　ピアッシング
　　　　　村上　龍　　幻冬社文庫　　　「普通の女の子」として存在したくないあなたへ。
　　　　　谷崎潤一郎　中公文庫　　　　人魚の嘆き・魔術師
　　　　　吉本ばなな　福武文庫　　　　白河夜船
　　　　　内田春菊　　文春文庫　　　　私の部屋に水がある理由（わけ）
　　　　　内田春菊　　文春文庫　　　　ファザーファッカー

　　感想は「書斎」にて。

　　初志貫徹で、ちゃんと行きも帰りも読みました。帰りは寝てたりしたけどね。読むぞ、と買った本が全部読めて嬉しい。こういう旅行ってそうそう、ほいほいできるもんでもないから、達成感はあるし、充実感はあるしで、すごくいい体験したなあ、と思う。

　　忍耐力とか、我慢とか、そういうものではなくて、ちょっとしたことに感動できたり、いろんな人に助けられたりして、地道に進むことで、何か大事な見落としを見つけられた感じです。旅は心を豊かにさせるね（笑）。たくさんたくさんありがとう。