東山魁夷の絵は、中学のときから知っていて、レプリカ、というかプリントあるいはポスターを何枚か持っていたりする。そのこよない自然美と、淡い静かな描写が好きで、そしてなにより長生きして書き続ける作家ということで好きでした。つい、ほんとうについこの間、１００歳になる前に亡くなってしまったのだけれど。

一番好きで、一番見たかった「白馬の森」という絵はみられなかった。何十点とあるので、季節ごとに展示が違うみたいです。すごく静かで、ゆっくりゆっくり見ることができました。案外小さくて、そんなに何回も来られないから、もっとたくさん見たかった。

美術館付のミュージアムショップでポストカードをいくつか買って、喫茶店でタカイ紅茶を飲みながら、二人で手紙を書きました。旅先から手紙を出すのは、もう何度目になるかわからないけれど、いつもいつも住所がわからない、郵便番号がわからないと言って悩みマス。ふたりで、多分届くよねえ、とか言いつつ。でも、こういう手紙を書いている時間がとても好きだったりする。

東山魁夷美術館に来ています、とひとこと書けばわかるひとたちに出す手紙は、説明いらずで、でもひとことで感動が伝えられて、嬉しい。そういう、非常にプライベートな暗黙の了解の上にかろうじてなりたっている葉書は、貴重だと、私は思う。そして、何枚書いても、何枚もらっても嬉しい。

切手を長野駅で買って、ポストを探して投函。私は彼女よりひとあし早く新幹線に乗って帰りました。さすがに長野から上野まではそれなりの時間がかかったけれど。

今回の旅行で逢った人たちに、もう逢うことはないんではないだろうか、とか思いつつ。

げんきですか。今すぐにでも逢えるなら逢いたいのです。あなたのいない生活に慣れていくのが不思議です。