冬の庭
日光が数時間しか当たらない庭では何もつくらないようにしている
プランターは黒く時々かき混ぜるだけにする日曜日
植木鉢に入れたまま放っておいたヒヤシンスが いつのまにか鮮やかなグリーンの色をして
今年もまた花を咲かそうと頑張っていた
比較的陽の当たりそうなところに移動させて土を少し盛る
心静かに愛していけたらいい それが哀しみに似ていてもかまわない
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2004年01月31日(土)
動物園
動きもしないパンダや振り向きもしないコアラ
当ての無い方向を見つめる鳥や
ここが自分の世界の全てだといわんばかりの猿たち
寒空の下をてくてく歩く
そういうのが私は好きだけど
あなたは嫌いだったのかな
彼女の物言いを思い出しながら 少しだけ開いた、しかし深い溝を覗き込む
ほんとうはずっと前からあったのかな
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2004年01月30日(金)
こびりついているもの
また鍋を焦がした
私はスーパーで林檎を買う 皮の厚い林檎を買う
そうして皮を剥いて 剥いた皮と重曹を一緒に煮込む
ゆっくりと焦げが取れていくように 私のどす黒さも消えればいい
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2004年01月26日(月)
日曜日の朝食
日曜日の朝はホットケーキミックスを使う
プレーンなホットケーキとかチーズやバナナを入れたもの
ドーナツにしてみたりソーセージ入りドーナツにしてみたり
蒸しパンもできるし肉まんの生地にもなる
毎日ホットケーキでもいいよとあなたがいうから
ここに黒猫がいれば言うことないのに
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2004年01月25日(日)
そんなことが伝えたいんじゃない
だったらあなたはわたしの何をわかるっていうんだろう
なんの苦労もしないで幸せを勝ち取ったように見えるのかしら
挫折も孤独も知らず、守られて自信があるように見える？
それだったらそれでもいい
でももうあなたは友達じゃない
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2004年01月23日(金)
まだ何も知らなかった。
めんどくさがりのために使いもしないコースターを、それでも買ってしまったのは１９９７年のことだ。
私はまだ世間の何も知らない子どもで、あなたはそれにゆっくりとつきあってくれた年だった。
そのコースターをただの一度も使わずにずっとキッチンに置きっぱなしだったのは何故だろう。
今更のように出してきて職場に置く。賢治の猫と梟。
時折眺めて、雪に埋もれた花巻市を想像する。
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2004年01月22日(木)
こんなときあなたがいればいいのに
そうしたらひとりでハーゲンダッツを食べずに済むし
飲みきれないペットボトルを買わずに済む
そんなネガティブな理由で求めてごめんね
そうじゃなければもっと違っていたかもしれないのにね
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2004年01月18日(日)
甘くて温かい生きもの
はちみつをかけて温めて
あなたを溶かしてしまいませう
冷たい輪郭が消えるまで
あなたを抱きしめてあげませう
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2004年01月14日(水)
そうしないとどんどん汚れが溜っていく
２通の葉書が早く来いと催促をする
あの時は確かに行くつもりだった
この口で必ず３ヶ月後に、と言ったはずだった
まだ行ってない
早く行かなきゃいけない
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2004年01月13日(火)
こどもの手から離れた風船が、ゆるやかに空へと昇っていく。
目の前で萎んでいくのを見るよりはいいのかもしれない
そんなことを考えたカフェテラス
あぁきっとあの子は幼い私のように泣くだろうけれども
大事なものを手放したわけではない
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2004年01月11日(日)
cold burn
あまりにも心地よくて
知らない間に深部まで犯されてた
低温火傷
まだ癒えない
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2004年01月08日(木)
エンドレスループ
インクが切れそうで切れないペンの先を見つめながら、いつかしっかりとした線が描けるのではないかと、無駄紙にぐるぐると円を書き続ける。そういうのを３分くらい続けてしまったあとで、こういう行為は危険だ、と思った。
例えば鋏で紙を切り続けるとか、マッチ棒を積み重ねていくとか、時報を聞き続けることとか、に、ふいっと足を掬われて延々と同じことを繰返してしまう。それも、かなり真剣に。
どうせなら窓拭きを始めるとかガスコンロを洗うとか風呂拭きをするとか、料理を作るとか（この場合より手の込んだ豪勢なものがよい）とかしないといけない。そうしたら達成感くらいはあるから。
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2004年01月06日(火)
「苦手」と「嫌い」はぜんぜん違う
嫌いなひとにまで好かれようなんて傲慢だ
そんなひとにはむしろ嫌われていたい
でもそれで迷惑するひとがいることも知っているから
挨拶ぐらいはしてやろう
相槌を打って笑い返すことぐらいはしよう
それが心からのものではなくても。
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2004年01月05日(月)
納経掛軸
三が日も過ぎて、正月休みではなく、ただの日曜日になった。
部屋に飾った掛軸を降ろす。
義理堅い人から戴いたとっておきの白檀を焚いて、大切に桐箱に仕舞う。
すこしだけ神妙な面持ちで、あの日のことを想う。
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2004年01月04日(日)
あけましておめでとうございます
元朝参りの帰り道で冬の大三角を見た
恒久の空にはまるで小さな一日
それでも私は変わるものを受け容れていこう
痺れる寒さの中
否応なく訪れる終わりと始まり
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2004年01月02日(金)
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