2002.8.12 .... 5th DAY
　
　「さっき歩きよったやろ、通りすぎやがって、うち来いや、泊めちゃる」
　「え？ど、どこ？」
　
ところで歩いていたらアスファルト熱で靴底１枚ずれている。え？もう？というわけで１７番に向かう国道１９２号で靴屋を探す。
　
国道だからなんかはあるだろう、という予想は外れる。真っ昼間は炎天下。よほどへろんへろんに歩いているらしい。車道でいきなり車を止めらえたかと思ったら窓から千円差し出された。「お接待。がんばれ」それだけ言ってすぐに行ってしまった。戸惑いながら言った私のお礼のセリフは聞こえただろうか。
　
なんかは食べないと危ないので、スーパーでゼリーを食べる。そうしたらおばさんが話しかけてきてくれて、それをみておじいさんも話しかけてきてくれる。おばさんが千円を差し出すので、おじいさんも「じゃぁわしも」といって２千円も戴いてしまった。お接待は断ってはいけないらしい。今日は３千円も戴いてしまって申し訳ない。生のお金を戴くのはびっくりだ。納経代にしよう、と思った。
　
なんとか靴屋を見つけて新しいのを買う。古い靴は処分してもらった。１７番まであと３００Ｍという表示に迷う。３００Ｍってもうすこし、と思うのに遠い。なんとかぎりぎりに納経を済ますとほっとする。さて今夜の宿はどうしよう？タウンページをめくっても、銭湯も温泉もなさそうだ。とりあえず夕食でも調達して、１６番でテントでもしようと歩き始めると、車から声をかけられた。
　
国道をへろへろになって歩いている我々を見たらしい、今夜泊めてくれるという。来いよ、栄タクシー！国道出たらわかる！と行って去っていってしまった。さかえたくしーと言われてもピンとこない。そういえば国道で「一夜の軒を貸しまひょか」とでかく書いてあったのをぼんやり思い出す。
　
行くと、おやじ社長は快く迎えてくれた。先客の中年男性１人、あとから来た近大生らしい男の子１人、４人で宿泊だ。シャワーも借りた。すっきり。しかも、阿波踊りを見に行かないかと誘ってくれる。恐ろしき阿波人情。泊めておいてもらってなんだが正直社長の体育会系人情派のノリにはついていけない。しかし阿波踊り。見たい。大喜びで連れてってもらう
　
徳島といえば阿波踊り。静の中に動。動の中の静。このバランスがすごい。中腰で踊るのはさぞかししんどかろう。でも実際の踊りは区間があった。２００Ｍくらい。一区間を踊りきると終わりで、次の区間に行ってしまう。これだったら延々と踊り続けるよさこいの方が体力的にはキツそうだ、とか思った。
　
阿波踊り会場から電車で帰って、社長にお礼を言おうと事務所らしきところに行くと雑魚寝で奥さんと仲良くエロビデオを見てるというくつろぎっぷり。ありがとう社長！大好きさ！憚られてそのまま就寝。
　
　旅の人　一夜の軒を貸しまひょか　受けてつかはれ　阿波の人情　みもてなし徳島
　
　（善根宿シャワー）　栄タクシー　お接待泊