2002.8.15 .... 8th DAY
　
　「やっぱ信心ですか」
　「いやいや・・　　（全っ然そんなことはありません）」
　
次は順打ちにもどって１８番だ。１３番まで同じ道を戻っても１８番に行けるけど、それではちょっと遠回りだし面白くない。コットンフィールドで道を教えてもらい、正規のへんろ道からはずれて４３８号を下り、県道を使って５５号を目指す。
　
４３８号は国道とも思えないほっっそい道だ。脇に大きなバイパスをつくっているところだった。登りが続いて府能トンネルというところから下り、５５号まで下っていくのだが、このトンネル、恐ろしく狭い。しかも暗い。車１台しか通れない。マイクロライトをふりふり光らせて小走りで通り抜ける。
　
ほんとに国道か？ってくらいの細い道がくねくね続く。我々が来た道に向かってすれ違うバイクのお兄さんに「この先ずっとこんな感じでしたか？」と訊かれるくらい。
　
そこそこ町並みが出てきて、ようやく今日最初の食料品店を見つける。食べる気がしないけどゼリーを買って食べる。店長らしきおじさんが２００mlポカリをお接待してくれた。すると店長恐ろしいことを聞いてくる。菅笠に書いてある文字の意味が知りたいらしい。菅笠には弘法大師を表す梵字。迷故三界城。悟故十方空。本来無東西。何処有南北。なんとなく意味は分るが、うまく説明できない。
　
延々歩いても５５号は遠い。途中犬がずっとついてきてくれた。なんでついてくるのか分らなかったけど、なんとなく心強かった。御大師様の化身だと冗談で言ってみた。
　
おばあちゃんにみかんをもらった。おじさんに梨を戴いた。ナイフまで用意してくれていた。すごく冷たくて美味しい。通りがけのおばちゃんに川を越えたら小松島市と教えてもらった。もうちょっとだと言ってもらった。すごく嬉しい。
　
もう暗くなって、５５号に着いた。ガストがある。なんだか都会だ。早速入ってドリンクバーで山ほど飲んだ。きれいなトイレが嬉しい。思い返してもこの日の足が一番つらかった。イスに座るのもやっとだった。ぱんぱんに張っているけど、テントをたてられそうなところがない。暗い中を歩いて、１８番に向かう。
　
途中でキャリーのタイヤがはずれた。いつの間にかゴムが一回り大きくなってしまっている。なんとかはめる。地図を落とした。暗い中引き返してライトで探した。見つかってすごく嬉しかった。いらいらしちゃいけない。こんなときこそ落ち着かないと。
　
１８番の駐車場についたらほっとした。トイレがある。水も出る。外灯もある。今夜はここでテントだ。
　
　迷うが故に三界は城なり　悟が故に十方は空なり　本来東西無く　いずこにか南北有らん　　（迷盲のゆえに凡夫の世界にはりめぐらされた堅固なとりでがあり、悟ってしまえば、十方世界森羅万象一切空である。もともと東も西もなく、ましてや、どこにも南北などあろうはずが無い）（コピペ）
この四句は棺桶の蓋に書かれる文字だそうで、菅笠は棺桶の代わりとされ、白衣と同様、菅笠は死に装束を意味します。いつ死んでもいいように。あるいは死者として巡拝し再び生まれ変わるために。
　
　（お風呂なし）　１８番恩山寺駐車場　テント泊