2002.8.19 .... 12th DAY
　
　「空と海しかない」
　「海岸線だねえ」
　
台風は通り過ぎたらしい。ほっとしてテントを片づけていると、朝７時。放送が流れた。なにかと思ったらラジオ体操だった。放送でラジオ体操を流すのってスゴイな〜と思いながらつられてやった。何年かぶりかわからないラジオ体操で、ゆっくりとカラダが目覚めた。今日はいちにち、何もないところを歩く。
　
地図上でみて、何もなさそうだ、と思っていたけど、ほんとうに何もなかった。どこまでみても、先に続く国道５５号と海と空しかない。寂れた海水浴場が２つほど、ちいさな漁村を通り過ぎるともう海岸線。
　
アスファルトの隙間から、たくさんのアザミが咲いていた。たくましい、と思わされる。かつてまだここに舗装道路がなかった頃、人家もなければ雨宿りもできず、砂浜ひとつないゴロゴロ石の中を先人が歩いていったかと思うとその孤独と苦労には偲ぶどころか畏ろしささえ感じる。
　
　
トイレがなくて困った。佛海庵というちいさな祠のトイレは今まで見たこともないほど蟲が涌いていた　困っていたら、まぁ麦茶でも飲んで行きなさい、とお接待された。のでトイレを貸していただいた。あのタイミングの良さといい、ほんとにお大師様というのは凄い（ｗ
　
先を歩いていた年配のおへんろさんが「今日はどちらまで？」というので「まぁ、行けるところまで」と答えると「夫婦岩」がいいですよ、と教えてくれた。トイレを探してすごく急いでいたのに「ちょっと待って」と引き止められ、のんきな話をされて曖昧に切り返してしまったが、有益な情報になった。暗い中、まだかまだかと思いながら歩いたけれど、何もない５５号の中ではキャンプ地として絶好の場所だった。
　
車道から降りた公園。屋根のある休憩所。水道の蛇口があるトイレ。昨日とはうって変わったような月明り。ひとが来ないことをいいことに、ペットボトルをシャワー代わりにして水を浴びた。すっきりした。
　
　（お風呂なし）　夫婦岩公園　テント泊