2002.9.2 .... 26th DAY
　
　「こんなことまでしていただいてしまったよ」
　「なんか申し訳ないねえ」
　
道の駅大月から道の駅すくもまでは１０キロぐらいだ。昼前には道の駅すくもについた。ここから今日の目標の札所３９番延光寺まで１５キロくらいは、やや往復する道のりになる。
　
道の駅すくもで道のりを確認しながら休憩をしていると、菅笠を見たおばさんが声をかけてくれた。「おへんろしてるの？」「そうですー」「今日はこれから延光寺？」「ええ」「往復するんかい？」「そうなんですよ〜」「今日はどちらに泊る予定？」「いや、まだ決めてないので」「そしたらね、うちに泊まんなさいや」「えっ」
こんな感じで、今回の総へんろの中で運命とも言える房子さんに出会ったのでした。
　
房子さんのうちは道の駅すくもの近くで、宿のお接待をしたいとずっと思っていたらしい。これまでに何度かおへんろさんに声をかけたのだけれど、もう宿の予約がしてあったり、もう少し先に進みたいとかで断られてきたという話。
　
ありがたくお受けした。お寺が終わったら迎えにきてくれるという。「３９番が終わったら連絡します、あ、でも３９番の前に健康ランドがあるらしいのでお風呂の後でいいですか？」というと、「あの健康ランドは古いよ！どうせやから他のええとこに連れて行ってあげる、私もお風呂入りたいし」と言われ。
　
３９番まで車で送ってもらったあげく、なんとできたばかりだという中村市の温泉とまろっとまで連れて行ってもらった。６３０円。海水風呂や薬湯もある、きれいなお風呂。一緒に入った後、中村市のホームセンターに寄ってもらい、ようやく２代目となる素敵なキャリーを購入
　
房子さんのうちで夕食までごちそうになり、泊めていただいた。翌日も朝食をごちそうになり、お弁当まで持たされて４０番まで送っていただいた。有難くて申し訳ないくらいだったが、房子さんはそうしたかったみたいだ。５人分くらいのお接待をされてしまった。
　
房子さん本人もなんだか苦労しているひとだった。車で８８ヶ所を回ったこともあるらしい。お接待をすることで房子さんがちょっとでも倖せになるなら、お安い御用だ。
　
ところで房子さん、娘さんがあの井上正治の奥さんだというので、家にはジャンプマンの絵入りサインがあった。競馬の漫画家、なんて紹介をするからどこのマイナー漫画家だと思ったらアナタ、全国紙に連載の漫画家じゃないですか！！！　私なんか全作品読んでいるというのに！
　
　（中村市キャンプ場とまろっと温泉６３０円）　房子さん宅　お接待泊